論文が書けるようになるには?にアンサーがない件|司法予備試験

予備試験

司法予備試験に参戦して、最初のハードルとなるのが「いつになったら起案できる?」という問題。上手く書きたいとかA判定をとりたい以前の問題として、そもそも【いつから初歩的な答案練習ができるのか?】多くの受験生が通るであろう「論文書き始められない」問題について独断と偏見で語ります。

論文っていつになったら書けるようになるの⁉

こんにちは~予備試験受験生の管理人です。とつぜんですが皆さん、起案してますか?「起案」と呼ぶにせよ「答案作成」と呼ぶにせよ、避けては通れないのが論文対策です。

書けども書けども合格答案にいきつくまでが長いのですが、それ以前に…「そもそも、どうやったら論文を書けるようになる?」というお悩みって大きいですよね。

1年目の最大の悩み

どう書くか、どう対策するか、論文式試験に関する情報はさまざま溢れているのですが…

そもそも、「いつ」「どうしたら」「論文が書き始められるのか」という超超超初歩レベルの悩みって、最大級の問題なのにも関わらず情報が少ない気がしています。書いた物の良し悪しの論評や、全般的な対策のハウツーは流れている。が、この手前の手前の手前レベルの情報がほしい。

最低限書ける人がより良く書ける方法じゃなくて、ぜんぜん書けない人が書き始められる方法が知りたいって思う時ありません?

起案初心者の状態

まず手を動かそう、何か書いてみようと言われて、なんだかんだとやってみてもピンとこない。

短文事例問題を解いてみる。う~ん、論証が暗記できてなかったから、イマイチ正しいことを書けていないみたい。何問かそれっぽく書けても…短文事例問題って、実際の論文試験とぜんぜん違うでしょ?

過去問を見ると…む、難しい!参考答案を読んで、がんばってそれと似たようなことを書いみたところで…え~~時間かかりすぎるし文章ぐちゃぐちゃ。もうこれいっそ写経で良くない??

演習書の問題を見ても、1文字も書くことが思いつかない。じゃぁ基礎学習に戻ればいいのかな?やっぱり短文事例問題をつぶすべき??でもそれじゃ力つかないって誰かが言ってた気がする!

この辺りで無限ループに陥り、ゆうに1年2年が経過。これ、受験生あるあるじゃないでしょうか?

そもそもフォーカスされない件

一通の答案を、一応書くことができる状態になるまでが長い。でも、この状態の受験生に対するアドバイスって、すごく少ない気がしています。

このフェーズがほとんどフォーカスされてないといいますか、シカトされている気がするのは私だけでしょうか?

予備校の論文講座は乱暴に言ってしまえば「初学者は何をすればいい?」「(中略)」「どうしたら合格答案が書ける?」…みたいな⁉ (え、中間どうなった!??)(※個人のもつ感想です)

合格者の「こうやって書けるようになります」も…う~んサンプル数1だし、やっぱり「起案を始めたいけどなかなか始められない時期」については端折られていたり。

端折られてるのか…はたまた、合格者は悩まず最初から起案スタートできてたのか…というくらいピンポイントの情報が少なく感じます。

もちろん、起案を軌道に乗せるまでの取り組みって人それぞれで諸説もあり。なにかと混乱してしまいます。

魔の下積み時代?

この「起案手前」のフェーズは、強いて言えば「インプット期」とか「基礎学習期」と呼ばれます。まずは1周!全体像をつかみましょう!というアドバイスがつきやすい。

それか「君はまだ書いていないだけ」的な扱い。バンバン演習に入って行きましょう!短文事例問題を解いてみましょう!

そして1科目50以上の短文事例問題と向き合いつつもその物量につぶされ、ある方向からは「さっさと過去問にうつれ」という情報が舞い込んでくる…。それで結局、前述の無限ループに陥るわけです。とにかく手を動かせども動かせども書ける気がしな~い!!

起案以前の対処法が少なさ過ぎる

私は先生方の教えを…自分で言うのもなんですが、わりと実直に守ってインプット学習と並行して演習に取り組んできました。基礎講義を聞くのと並行して、短文事例問題と過去問にも目を通しました。見よう見まねで起案もしたし、その見まねの起案ができないときは写経もしました。

なのですが…この名前のつかない下積み時代は長かったし、この期間に有効なアドバイスってなかった、という実感があります。

そう感じるのは私がある一時期を境に急に答案の形で書くようになり、それ以降に目を通してきた解説という解説が「これ最低限は書ける人向けの情報じゃん」と思うものばかりだからです。

もちろん全ての先生方の解説に目を通したわけではないので「え、そのあたりちゃんと解説されてるよ?」というツッコミがあったら生暖かく見守っていただきたいのですが。

なぜ答案が書けないの?

とにかく、どうしたら答案というもの、論文というものが書けるようになるわけ?…という切実な悩みがあります。まず最低限でも書けるようになりたい…と思っていたとき。

私の場合、一番のハードルは「自分の頭で文章を考えて、書く」という体験がぜんぜん踏めなかった点にありました。

書いても書けない

このお悩みを抱えている人なら、同じだと思います。全く手を動かすつもりがないわけじゃなくて、もちろん短文事例問題なり、論証なり、紙に書いてる。でも昨日暗記した論証をそのまま紙に書けただけで「ヤッタ~じぶん論文書けた~」って気になりますか?なりませんよね。

本やネットに掲載されてる「答案の型」みたいなものを脇に置いて、一行ずつそれに従って書いてみたら…。これは暗記の吐出しよりちょっとマシ。でも…それでも、それだけでは「自分は起案するレベルじゃない」という自己評価のままです

これって個人的には「自分の頭で文章を考えて、書く」という行為ができてないことが最大の問題な気がします。

要は真似して書いただけじゃ何もしないよりはよっぽどいいけど、自信にはつながらない書いた実感が得られないのです。こんな取り組み方だとアウトプット学習のほとんどの効用が得られないまま悶々としてしまいます。

手頃な教材がない

とにかくアウトプット!とよく言われるわりに、初学者がとりくむのに手頃な演習教材ってなかなかない。手頃な分量としては、やはり短文事例問題が良いのでしょうが。大切なパートを短く抜粋した問題集というのは…結局のとこ、判例と論証を暗記して書くだけのページが大半を占めます。暗記吐出しだけだと前進感が得られません。

短くて、簡単で、暗記の吐出しじゃなくて、ちょっと考えさせる問題で、試験対策になって… そんなの無いわ!って話なんですね。

無い物ねだりはしても仕方ないので、淡々と短文事例問題をつぶしていく人もいれば、より難易度の高い演習書に切り替えて最初はインプット教材として回す人もいるようです。(私はどっちもやろうとして右往左往しました。)

そりゃ書けないよね…

いよいよオチが見当たらなくなってきましたが。具体的な対処法に入る前に、ちょっと起案へのイメージを変えてみましょう。

起案って無茶ぶり

ここで個人的な話ですが、私は作文・文章の書き方を教える仕事をしています。(え?この文章力で?「意外~」と思った人は今日ちょっと嫌なことありますようにーー!)。

指導は小中学生なら教室の机に向って、一行一行、アドバイスしながら進めます。最初の一行が書けなければ、ちょっとヒントを出してみて。消して書き直してを繰り返します。お子さんだけでなく、大人の文章指導をするときもこれに近い作業をします。

だって普通に「ハイ、このテーマで書いてみてください、ホラ書いてよ」って言われて、急に書くのって難しいですよね。そんなのできて当たり前じゃありません。

「書く」作業は人それぞれ

同じテーマの作文を指定しても、生徒さんによって取り組み方は全く違います。なかなか書くことが思いつかなくて、書き出すまでが長い人。アイディアはパッと浮かぶのに言葉にできない人。最初は調子がいいのに途中で詰まってしまいがちな人…などなど。

文章作成について、類型化してハウツー解説を作るのは難しいし、全ての読者がしっくりくるメソッドとはない気がします。論理と実践は、全く別の問題だったりもしますし。

結局のとこ独学状態

話を論文対策に戻します。

答案書けなくて困ってる。学習初期から個別指導を依頼してる受験生は少ないし、個別指導の先生だって一行一行付き添って指導してくれるわけじゃない。

結局私たちは、独学で書いているのです。これって実は、凄いことじゃないでしょうか?

逆ギレしてもいいじゃない(笑)

つまり、とるべき行動としては…

なんだかんだ書いてみる。予備校の基礎問なり答練なりを出してみる。さんざんダメ出しされる。参考答案を読む。それをいったん認識する。

でもって「習ってないから書けないだけだし」ってスルーする!これでどうでしょう!

え?この問題は前にも見た?そんなときは「一度で覚えられたらただの天才だし」ってことで!

添削との向き合い方は、予備校によりさまざまあるのでいったん割愛しますが、要するに起案が軌道にのるまでのつまづき全般について、もう「仕方ない」と割り切る部分があっていいと思うのです。

仮装の敵をぶっつぶす!

三段論法ができてない?基礎知識が不十分?答案の型になってない??え?それができないから困ってるんですけど?(逆ギレ(笑) 

いま自分はそういうフェーズなんですけど?みんなそういうフェーズありましたよね?なかったんですか?なかった人は参考にならないのでちょっと黙っててもらえますか??

…と、このくらい図太いメンタルでいてもバチは当たらない気がします(笑)。

書き始められないときの解決策は?

さて、起案がうまくいかない時の対処法としては次のようなものがあります。

・基礎に戻り科目の全体像を把握しよう

・演習を積み、思考力を身につけよう

・答練を受け、強制的に書く機会を作ろう

「起案がうまくいかないからって書くのをやめて基本書を読み漁ったりするのは危険」というのも、よく聞くアドバイスです。

起案を割り切る

結局のとこ「ひたすら歯を食いしばって書く」のが良いのでしょうか。とはいえ起案にウェイトをおきすぎないスタンスの受験生も相当数いて、それで結果的に書けるようになる人もいます。

一定期間「起案しない」と決めて離れたり、折衷案として構成作成など起案未満の執筆にとどめたり。このあたりの取り組みは千差万別のようです。

ベストな対処法は無い

起案に悩みを抱えているときって、「何と何と何をすれば書けるようになるのか、いっそ誰かに指示してもらいたい」…という心境にならないでしょうか。「こうすれば書ける」が知りたい。だから具体的な解決策が知りたい!

でもどんなに素晴らしいメソッドであっても、結局のところパーソナライズされた解決策ではない。先生が隣に座って一行一行アドバイスしてくれるわけではない。そうすると、自分に合う方法を、自分で決めて実践していく他ない…という、月並みなところに落ちつきます。

離脱・挫折のリスク

一人ひとり合う方法が違う、そんなの当たり前じゃんというツッコミもありそうですが。真面目に勉強してるとこの手の心の罠に落ちてしまうことって、多いと思うのです。

「先生の言う通りにできない」「一通りのことはやってみたけど上手くできない」あの方法もダメだった、これもダメだった。自分のどこがおかしいんだろう、何が足りないんだろう…。この手の落とし穴に落っこちて、心が折れて離脱する受験生も一定数いそう。

この時期をひたすらメンタル的に耐えて生き延びることも、具体的な勉強法と並ぶ重要テーマに感じます。

たぶんテンプレ通りにいかない

そもそも自分の学習が、テンプレ経過をたどるとは限りません。

たとえば私は、答案構成をずっと作れず、”起案もどき”を書き始めた時期が先でした。見よう見まねで起案していって、徐々に構成を組みかたが分かってきたので、構成→起案ではなくて、起案→構成なのです。

予備校の先生の解説で「まずは構成だけでも書いてみましょう」という話の印象が強かったので、このフェーズはホントに自分が今どんな状態にあるのか意味不明すぎる時期でした。

…という体験は、人に話せば「あ~そっちパターンだったのね」くらいで済んじゃう話だと思います。でもこの意味不明な時期は半年は続いて、その間「答案構成すら作れない私」と、ずっと思い続けていたのです。今の自分の状態が分からないって、すごく危険なことですよね。

悩みが拗れると…

誰にだって、”テンプレ”じゃないお悩みが何か一つはあることでしょう。人それぞれ違うのは大前提だけど。実際に迷い苦しんでる時期って、ほんと…タテマエだけじゃ心が晴れません。

「他の人はあの方法でうまく行ってるのに…」というのが頭をチラつくと、自分がおかしいのか、教材がおかしいのか、このメソッドがおかしいのか…と疑心暗鬼になってしまいます。そうすると手戻りが増え、教材を買い替えたりSNSを読み漁ったりあらぬ方向へ向かう結果、学習効率はダダ下がります。

「こうすれば絶対書ける」という、シンプルアンサーはないのに。

私たちにできること

以上をふまえて受験生にできることは、正解かは分からなくても勉強をやめないこと。そもそも絶対的な正解なんてないのだし。そして雑音をシカトすること。モチベをそぐ情報を遠ざけること。

ある方法が上手くいかなければ、他の方法に切り替えてもいいけれど、「今までの自分は間違えてたんだ」とか、この教材はダメだ、あの予備校は違うとか…。そんなことは考えてもしかたないということ。

有益な情報さえ私たちのモチベをそぎ、ときには害になるということ。添削者や合格者の”かわいがり”に潰されないこと。

起案のお悩みターニングポイント

…本当に月並みですが、勉強をやめなければ「あ、ここが自分の書き初めだ」というポイントが訪れるはず。こっからバンバン書いてくぜ!っていう瞬間が。

その瞬間というのは、知識、文章力、構成力、筆力、思考力… さまざまなスキルがひっくるめて一定レベルをこえた時に「前より答案の形になってきた」という実感として訪れる気がします。

…というのは、サンプル数1の私の体験談。きっと起案に取り組む人の数だけ、違った突破口があることでしょう。

おわりに~楽しまなきゃ損~

さてさて避けては通れない論文対策なので、モチベを下げずに取り組みたい。モチベを下げないためには、周りの話を聞きすぎず、ちょっとした図太さも必要。ということで、少しはアンサーになっていましたでしょうか。

こんなに好き勝手書いたので、かくいう私はさぞかし充実した起案ができてるのかと思うでしょうか。充実…。毎日書いていて、そして毎回新鮮に「あ、初歩の初歩がやっと書けた」って気がしていますよ~!

そんな山あり谷ありの起案ライフですが、悩み過ぎず、お互い頑張っていきましょう。

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