既婚女性が国家資格をとけることの意味|行政書士資格のメリット

キャリア

試験を受験するかお迷いですか?今すぐ開業や転職する予定はないけれど、挑戦してみたい。そんな受験生も多いものです。本記事では女性の視点で国家資格を取得することの意義を、行政書士試験の体験談とともにご紹介しています。物理的なメリットというより、価値観の話題が中心ですが受験を迷っている方はぜひ参考にしてみてください。

行政書士試験を受ける人の4割は女性

1年に1度実施される行政書士試験。受験者数に占める女性の割合は44%と、半数に迫っています。合格者に占める割合はやや落ちて37%ですが、行政書士試験は4割近くが女性というのが実態です(引用元:行政書士試験研究センター)。司法予備試験は女性率が3割程度ですから、それと比べると行政書士は女性が多い資格と言えます。

とはいえ受験するとなると…

資格に挑戦するとなると、時間もお金もかかるもの。行政書士試験は年に1度しかありませんから通常は1年がかりで挑戦し、不合格になれば2年目3年目へと挑戦が続きます。大手の予備校に加入すれば高額な物では10万円台後半ですから、受験にかかる費用は20万に迫まる金額になるでしょう。

しかし、実際には半年未満・独学で試験代を入れても2万円~3万円程度の予算で合格証を手にしている人もいます。期間と費用の両方で最低コースを目指すのは至難の業ですが、そのどちらかなら無謀なチャレンジとはいえません。

とはいえ、このあたりの”見積り”をどう考えるかで、人によっては「そもそも受けるべき?」という悩みが浮上します。スタートライン以前のハードルです。

「そんなに大変ならパス」?

「そんなにお金がかかるならいいや」「そんな時間はない」と迷わず回れ右できる人なら問題ないのですが「挑戦してもいいものかな?無謀じゃないかな??」と悩み続けるのは勿体ないことです。かくいう筆者も、この資格の存在を最初に知ったのは2015年。そこから受験を決めた2021年まで6年もの月日が経っています。

なんとなくで始めて教材を買い集め、やっぱり大変すぎる…と受験を見送ったのでは、お金も時間も棒に振ることになります。どの資格の試験会場でもいえることですが、決して少なくない”空席”が目立ちます。(隣前後が空席だと受験生的には気楽ですが。)

「こんなはずじゃなかった」という後悔はしたくないですね。

開業予定じゃないけれど…行政書士資格にメリットはある?

行政書士試験のあるあるですが、「とくに開業予定はないけれど受験する人も多い」ということ。令和4年4月1日時点での行政書士の登録数は51,286件(うち、法人が1,000件)です(引用元:日本行政書士会連合会)。毎年4~5,000人の合格者が輩出されている一方で、この数字。行政書士は開業の難しさの一方で廃業も多いことなどが話題にもなっていますが、結局のところ資格を今すぐに活用するひとばかりではないようです。

使わないなら、なぜ受ける?という話です。

自己啓発のための資格

開業・就職以外の目的で多いのは「趣味・自己啓発」でしょうか。50代60代以降の受験生も多い行政書士試験。会社では役職者で自己研鑽のために…という方もいれば、リタイアされたのを機に勉強を、という方もいるようです。行政書士試験は役所への申請手続きのような身近なテーマから、憲法の人権など壮大なテーマまで幅広い知識を習得できます。

大げさでなく価値観が変わる人も多いでしょうし、学ぶ楽しみを感じられる資格です。

「行政書士ルート」の〇〇受験

自己研鑽と並んで多いのは他資格とのダブル受験です。いわゆる「行政書士ルート」と呼ばれるものですが、最終目標は公務員試験、司法書士、司法試験に置いている受験生も多数。行政書士試験は憲法・民法・商法・行政法という法律の主要科目のみから出題されるというのが特徴的です。お隣の宅建では宅建業法が大きな出題科目ですが、他資格では扱われない科目です。

行政書士試験で学んだことをそのまま他資格に活かせるというのは大きなメリットですね。

女性に特有の「受けてよかった」

以上は一般的な行政書士試験のアレコレですが、ここからは私自身の口コミを中心に「100%受けて良かった」と感じているポイントをご紹介します。主に女性特有のあるある話になりますのでご了承ください。

そもそも女の30代~40代がハードモードすぎ

20代後半、親親戚に「結婚は?」と言われたのが全ての始まり。そこから向こう20年は、オンナも歩けば棒に当たる…というくらい人生への横やりが多いものです。

子どもを産んで働けば「子どもに冷食たべさせるなんて」「もっと子どもとの時間をとってあげて」といわれ、働かなければ「大人なのに納税しないとか」「気楽でいいね」といわれ。なんとも生きづらい世の中です。そこで、資格だ。いやなんでそう繋がるの?と思われそうですが、私の中では資格=自分をちょっと生きやすくするためのお守りなのです。

エンドレスなキャリアの悩みに

いつ働くのか、いつまで働くのか、いま働いていいのか、いま働かなくていいのか、ずっとこの仕事でいいのか、どんな仕事ができるのか…etc

キャリアの悩みは無限にあります。特に子持ちの女性にとっては出産のタイミングや環境によって無数のパターンが存在し、どれを選んでも後悔する気さえしてきます。働くにせよ育児に専念するにせよ、「これで良かったんだ」と心から納得するのは難しいものです。そして子どもの成長や家庭環境の変化に応じて働けるときは最大限働く、という柔軟さも求められますよね。就職するにせよ転職するにせよ、資格はあって困りません。私自身は保育園で働いていて「この仕事を一生できるかな…」と悩んだ時期に行政書士に挑戦しました。

夫との些細な揉めごとがなくなった

家事育児にまつわる色々なことで起こる夫婦喧嘩。専業主婦だったころはもちろんのこと、働き始めるとそれはそれでトラブルが多々。犬も食わない夫婦喧嘩ですが、家事育児に真剣であれば真剣であるほど譲れないものです。

ワンオペ育児の論争については他に譲りますが、我が家でも「もうこの人とは無理かもしれない」と思った瞬間がありました。そこで、資格だ。この先の人生なにが起こるかわからない。ウチの夫がアリかナシか以前に、私は毎日夫の愚痴ばかり言っているようなオバサンにはなりたくないのだ!

資格の勉強で忙しくなるとどうなるか。夫に何を言われても「気をつけま~す!」で切り上げる。優先度の低いことに関しては「いま勉強が大変だから!試験が終わったら頑張るね!」で済ませます。(そして試験が終わるころには大概のことはどうでもよくなっています)

もちろんそれで済まないことも稀にあり、そんな時は話し合うことになります。しかし、99%のど~~~でも良い夫婦喧嘩が消えたのは大きいです。

親からの「ご心配」攻撃をかわせるようになった

出産、育児、職場復帰、転職、退職…。そんな人生の選択に対して心無いことを言う人もいます。しかもそれが、SNSには掃きだめのように存在するのはもちろんのこと。身近な家族でさえ「でもさぁ」と矛先をこちらに向けてくるから悩みは深い。

仕事を辞めたときは夫の親が、仕事を始めた時は自分の親が「だいじょうぶなの?」「どうなってるの??」と度々言ってきました。”心配”に名を借りた、あの手を変え言葉を変え絡んでくるアレです。こういったことは独身女性と実親との間でも起こりますよね。

ちなみに…私は専業主婦時代、1月に最低1回は義実家に帰省するという暗黙ルールを守っており、帰省しない月は「来ないの??」と催促されたりこちらからも謝ったり。今思い出してもツッコミどころの多すぎる関係を築いていました。

そこで、資格。資格を持っていれば「今は働かない嫁だけど、いつかは働くでしょう」あるいは「手に職があれば、いつ辞めてもいいんだし」と一応納得してくれるものです。私はここ8年「勉強で忙しいから」ということを理由になんど連絡・誘い・帰省要請を断ったか数えきれません。そして実際に、勉強してきました。勉強していたら、自分が望みもしないのに義理で親に付き合わされる暇はないのです。その代わり、お正月は帰省したいから勉強を調整しよう、ということを目標にしたりします。

育児と並走できる最強の趣味

出産するまではお酒の飲み歩きが趣味でした。妊娠した瞬間にその趣味は消えました。

もちろん子どもがいるというだけで好きな事すべてを諦める必要はありません。が、やはり物理的な問題で育児との相性の良し悪しが存在します。育児中のママで手芸・ハンドクラフトをやっている女性は多いものですが、子どもを見ながら作業しやすい趣味というのも多いに関係しています。縫物よりもさらに手軽なのは読書です。それこそ授乳中にだってできます。子どもが5歳を超えれば、親子でそれぞれに読書というのも自宅でできるお楽しみです。

そして本を読めるなら資格に受かる!スキマ時間や育休を有意義に活用したい、という動機で資格に挑戦するママも多いようです。

行政書士は開業できる国家資格

以上の体験談は他資格にもいえることですが、行政書士資格の特徴は何と言っても開業が許された国家資格であるということです。もちろん、女性が自ら開業するということは並大抵のことではありませんし、非現実的だと言う人もいることでしょう。が、どちらにせよ資格をもっていなければ何もできないのです。就職するにしても、履歴書に一つ書けることがあるのは大きい。

そして親や夫に自分の時間を尊重してもらう、という点では国家資格であることは大きいです。たとえば同じスマホをいじっているのでも、ヨガ動画を観ていれば「そんな暇あるなら〇〇やってよ」と言われそうなところ、講義動画を聞けばこちらから「後でにしてくれないかな」の一言がいえます(毎回ではありませんが)。ヨガがどうでもいいということではないのですが、周囲の理解という点で異なります。

他資格を目指す女性は「行政書士ルート」が最強

女性の場合はまだまだ”結婚して家庭に入ること”そして、家庭を持ったら”夫や子どもを優先させること”がヨシとされる時代。私自身は司法試験を最終目標にしていますが夫・両親に「そんなこと今やる必要あるの?」と言われ反対されないとも限りません。

ほかにも〇〇を目指す、と打ち明けたら親に「それより結婚・育児」といわれたり、友達にも「え?ウソでしょ?」と言われた…という話もお聞きします。そこで、行政書士。1つ持っていれば自分でも自信が持てますし、”この1年2年は勉強に打ち込むべき”という客観的資料になります。

…なんだか固い言い方になってしまいましたが女性のさまざまな”あるべき論”を修正するには、ちょっとしたお守りが必要。私が行政書士試験を受けて良かった!と感じている最大のポイントです。

取り組んでみて分かる自分のこと

ここまで読んで、「今のところ就職・転職も、他資格もピンとこないんだよな…」と感じた方もいるかもしれません。特に小さなお子さんを抱えていると物理的に外に働きにできたり、資格に長時間を割くことが難しいですよね。

行政書士資格をとって、どうするのか?その先に何があるのか?…という疑問への答えは、結局のところ取り組んだ人にしか分からないのだと思います。就職にどの程度有利か、賃金に影響するのかといった指標が欲しい方もいるでしょうし、それが分からなければ「やる意味なし」と判断する人も多いです。

私が司法試験に挑戦したい!と感じたのは行政書士の勉強を始めて1ヵ月経った9月ごろでした。まさか自分にこんな意欲があったなんて。とにかく手を動かさないことには分からないこと、気づけないことは多いです。子持ちのママなら、初めての妊娠中に想像した育児のアレコレが、実は的外れだった…というご経験があるかと思いますが、勉強でもそんなことが沢山あるものですね。

おわりに

いかがでしたか?女性特有の話題をメインにお伝えしましたが、もちろん男性にもメリットが多い資格であることでしょう。そして本記事は男性と比べて女性の方が大変である、出産や働くことが常に正解である…といったことは一切意図していませんが、ご不快に感じられた方がいたら申し訳ありません。

行政書士試験は老若男女に門徒が開かれた資格試験です。下は10代、上は80代の受験生を抱える、珍しい国家資格。会場では緊張しますが、ちょっとしたワクワク感も感じられました。

あなたも、ぜひ行政書士試験をきっかけに、人生を変えてみませんか?

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