論パを使って何をする?引き続き、法学セミナー12月号のあれこれをお話します。予備試験受験生の個人的な学習日記です。生暖かく横目でご覧ください!
引き続き使ってます
皆さんこんにちは、予備試験受験生のkaoです。ここ数日も論文式試験の合否が気になって2日に1回は気が触れそうになっています。正直、体感としては厳しい結果を想像していまして、考えれば考えるほどしんどくて‥‥そうだ、答案を書こう?そうしよう?
さてさて、大注目の法セミ12月号をちょこちょこ読みつつ昨日今日も答案を書いていました。前回の感想レポであまり詳しく書かなかった答案書く前後のあれこれを日記にします。
感想に入る前に
ここで前置きですが。本ポストも、「法セミ12月号を読みました。やっぱり楽しかったです。」という趣旨の日記です。
受験界はどうあるべきか。受験生は合格のために何をすべきか‥‥といった話題は、その知見がある方々にお譲りします。
そして前回のポストに斜め上からのご意見がつかなかったことに心から感謝しています。確率的に何か来るだろうと思っていたのですが杞憂で、むしろ暖かなコメントをいただき嬉しかったです。(こんな拙い文章に…!)
法セミ12月号と脳内会議
さて、今日はまとまった時間がとれたので以前解けなかった令和2年司法試験第一問に挑戦。詐欺罪・恐喝罪の問題です。
前回のポストでは「法セミ読んだ・書いた・楽しかった」という小5レベルの語彙力でサラッと書きましたが、もちろんすったもんだありつつ答案を作ったのです。そして今回は前回以上に苦戦しました。
導入部分ですでに危機
詐欺罪です。詐欺罪と言えば欺罔行為。法セミ12月号の該当箇所を開けば…やっぱり一番最初の方で解説されてました。『欺罔行為の定義』!
一般的に基本書等に記載される定義としては:①財物交付に向けて人を錯誤に陥らせる行為、②交付判断の基礎となる重要な事項を偽る行為、がありますよね。そして①と②を併用する場合があるそうです。
えっ併用!?併用なの??法セミ論パとしては、①+②の併用したものが掲載されていて驚きました。
そう、そうそうそう、ここですよ。このあたり前もモヤッとした覚えがあります。①か?②か?両方書けばよかったのか‥‥。でも①+②って長いな!?
戸惑いは論パと共に
掲載されている①+②の論パを眺めると耳慣れない感じがしてどうどうどうしよう。サラッと頭に入ってこない。
それぞれなら覚えられなくもないけど、この併用した論パがすごく難しく感じる。なんでだろう?モヤモヤの理由はおそらく‥‥「錯誤に陥らせる」と「偽る」をくっつけているところが宇宙なんです。
あぁ、詐欺罪の序章のところでいきなり躓いてしまいました。まだ論パのさわり部分です。だって予備校の論証って「あれして、これして、こうなった」とか、「要素は、あれと、これ」みたいな文体じゃないですか。錯誤に陥らせる、それと偽る?うーん思考が宇宙に突入。
‥‥さて、ここで勉強タイムの中断です。今は朝。支度をして、子を学校に送ります。
今までをふりかえる
学校への道すがら考えます。私がこれまで使っていた論証は②。『「欺」く行為とは、交付の判断の基礎となる重要な事項を偽る行為をいう』というものです。
でも前に答案を書いたときにモヤッとしたんですよね。何にって、『錯誤』をどこに位置付けるかで迷ったんですよ。
この論証だと流れはこう。欺罔行為は偽る行為→偽りました→錯誤に陥った→処分行為した→財物移転した。話は明快だけど、「錯誤ってどっから出てきた体で書けばいいの」と思ったのを胡麻化しつつ書きました。錯誤って‥‥結果ではないです…よね。
シンキングタイム
まだ登校中です。(隣で子がゲームの話してます。)あの①+②の論パは覚えられる気がしないなぁ。う~ん、②だけじゃダメ?
でもよくよく考えたら「欺くことは偽ることです」って言ったら、なんか違うよね?欺くのとウソつくのは違うもの。
そもそも「欺く」ってなんだろ一般的に。嘘をつきました~だけじゃなくて、こう‥‥チート感あるじゃないですか。相手を信じこませて裏でせせら笑うような。
あーーーやっぱり錯誤なのか錯誤!
それならさ、こう書けばいいんでない?「欺く」とは、『交付の判断の基礎となる重要な事項を偽り、相手を錯誤に陥らせる行為』、これならいつものノリで書けるじゃない?
渋々覚えます
帰宅しました。法セミ論パをもう一度眺めます。うーん‥‥。あ、ダメだわ。交付に「向けて」錯誤に陥らせるって文言がある。この「向けて」ってなんか意味ありそうです。
きっと、私がイケメン詐欺師に口説かれて無茶な投資をさせられそうになってるとき、「わ~♡イケメン君って賢いんだねお金持ちなんだね♡」って錯誤に陥っても仕方ないのよね。この錯誤が、契約書にうっかり判を押す布石になっていないといけないんでしょ?だから「向いて」ないといけないんだよね?(※疑問形ですが完全にセルフトークです。)
わかったわ。もう諦めて暗記します。①+②の法セミ論パ、見れば見るほどこれしかないわ。暗記は最終手段ですが、さすがにこのパートは暗記しないと話が進まないと諦めました。(←どんだけ暗記嫌いなんでしょう。)
話が進まない⁉
法セミ読者の皆様、お気づきでしょうか。ここまでで朝の外出準備と5つある詐欺罪の論パのうち、最初の1つの‥‥4行目までが終わったところです。ずいぶん尺を使いました。
でも日頃のモヤモヤが解消したので良かったです。なんでモヤモヤを見過ごしちゃってたのかな。
一山超えれば
電車で移動。一番のモヤモヤである欺罔行為を検討している間にかなり思考が温まってきています。詐欺ってどんな状況?当事者はどういう様子?アレコレ考え巡らせたので、残りの論パは車内でするする読めました。
重要事項性!うわ~これも胡麻化しつつ書いてました。前に書いたとき、『一般的に、真実を知れば交付しなかったといえるか』は書きました。あぁでも、何を保護するって考えたら‥‥。考えたことなかったです。こういう理由付け、じんときますよね。(来ませんか?刺さりませんか?)
初見の論パ
デデデーン!ここで初見の論パ、『経済的事項』が登場しました!「経済的損害の発生」については短答で見たことがありますが‥‥欺罔行為のところの話?
(余談ですが、この欺罔行為の論パ全てに欺罔行為の定義が掲載されているところが非常にありがたいです。おかげで戸惑っていたのが馴染んできました。)
経済的事項。へー、そんなことが問題になることもあるんだ?例えばあんな問題で出される可能性あるかも。欺罔行為の所で書かないと欺罔行為を肯定したあとに損害を否定するのは‥‥破綻しそう。うん、これは良い情報を得ました。(法セミ持ってない方、意味不明でごめんなさい。)
好きな論パ
よく、何でもかんでも論証パターンにするのは良くないと言われます。暗記に弱い身としては暗記対象は少なくしたいのですが、意味内容で理解すれば良い、思考に訴えてくるような論パは好きです。
こんな問題があるんだ…と、問題意識を持てるだけでも試験で救われるかもしれないし。
新しい問題、未知への遭遇チャ~ンスでもあります。と、言いますのも、実際の試験って論証パターンをそのまま貼れないことの方が多いじゃないですか。
規範をその場で立てる?それって誰が教えてくれるの?『本質を理解していれば』‥‥みたいな話はそれとして。誰が手本を見せて教えてくれるのかと、考えたとき、良い論証パターンは作文のお手本になります。
広がる妄想
こういう問題だからこういう内容の論パになって、こういう言葉を入れてるのね。押さえておきたいのはこの説明で、こんな風に意味内容が分かってれば、土壇場でこんな言葉くらいは出てきそう。事例がこうだったら‥‥。むふふ。出題されたい。(※全て心の中の発言です。電車の中です)
一言一句レベルで暗記する有名な論証は判例の抜粋であることも多く、こういったトレーニングはできませんよね。(ちなみに現場思考問題は好きです!)
なお、典型じゃない論パと書きましたが有名な論点だったらお恥ずかしい!まぁ素敵なファーストコンタクトだったということで。
ふたたび使ってみた
さて、例によって広めの図書館に着きました。
今日のお供は残り物カレーとサラダ、温かいルイボスハニーティーとコーヒーも。どうでも良い情報ですが1通の過去問を検討するのに1.5リットルくらい水分摂取してます。教材より水筒が重いです。過去問を検討する精神的負荷を考えると物理の重みなんて気になりませんね。
激ムズR2過去問
令和2年司法試験過去問です。二カ月前に解けなかった詐欺・恐喝の問題。
余談ですが法セミ12月号に対しては「受験生がそこに手を広げる暇あるなら」系のご意見もあるでしょうし、「流行りものに飛びついて勉強を疎かにしている」といったご心配もありそうですが、私は過去問消化に活用できるので弊害を感じていません。(過去問が本当に多いですよね。)
欺罔行為ぃぃぃ!
書いた書きました。一応‥‥。前回は全く解けなかったことを思えば、だいぶ進歩はしました。が、この欺罔行為のくだりは本当にあてはめ難しかったです。
錯誤に陥らせる、陥った、偽った、あたりの言葉をごちゃごちゃと。
(被害者が)錯誤に陥った!→よって錯誤に陥らせる行為があった!と繋ごうとして、まるで結果→行為の順で書いているようで。文章を何度か書き直すロスがありました。どうしよう、この偽り陥り陥らせるあたりで永遠にループしそう。明日の朝のシンキングタイムに引き継ごうかと。
重要事項については一般・主観両方から重要といえることを一言書きました。これまでこの議論があることを一切知らずに「一般的に重要」なんて書いてたことを思えば進歩!財産の保護価値について書いてみたかったので恐喝罪のところで入れました(合っているかわかりませんが)。
今朝答案を見返してみると…理想ではないけど一応の答案にはなったかもしれません。
そして別の設問でみ欺罔行為を書いたのですが、今度はすんなり。重要事項性を先に認定すれば、偽り・陥れるくだりも自然と論パに対応して文が繋がりました(おそらく)。挙動による欺罔については初めて書きました。この設問では大展開するほどではなかったため、次はもっと手短に書きたいです。
論点やまもり
この令和2年過去問を二回に分け3時間ほどて解いたのですが、後半も実行の着手、錯誤、因果関係、不法領得の意思‥‥!この年度、論点多すぎる!
実行の着手は、苦しみましたが一応は書けたような。因果関係は前回より慣れてきました。
使ってみてどう?
今回の法セミ論パを取り入れて書いてみて、苦しんだランキングは1位不作為、2位因果関係、3位詐欺罪でした。(どんなランキング(笑))
ちなみに、論パをそのままベタ張りしたわけではないことは前回のポストでお話ししました。理解暗記の難しさ、答案上でのアレンジのしやすさ、作文・あてはめの難しさ等々の総合値です。
不作為は議論そのものが難しい。(平成30年も追加で解いたら前より書けるようになりました。)因果関係は頻出でありながら適当なあてはめをしていたことが判明。詐欺罪は各論の難しさに苦しみました。
それから共同正犯も、追加で1記事書けそうなくらい難しかったです。共同正犯は過去問が多いので、解きながら習得します。
論パがわかる2問
今回挙げた平成26年過去問と令和2年過去問は法セミ論パがいくつも登場する問題です。この二つを解けば法セミ論パの大まかな使い心地が分かるかと!法セミ論パ使ってみたいよ~という方はぜひ解いてみてはいかがでしょうか?
‥‥と、書きつつ薄々察しています。今のこの時期に司法試験過去問を解いてる人ってあんまりいない。予備論文に受かりそうな人は口述対策してますし。でもまぁ、読んでくださったうちお一人でも同士がいたら嬉しいです。
おわりに
今回の起案は3時間がかりで苦戦しましたが、課題が見えて良かったと納得します。答案練習は毎回うまく書けているわけではなく、惰性にならないよう心がけています。
ちなみに前回書いた平成26年の答案を司法試験合格者の方に見ていただく機会がありました。あれもたいがい粗があったのですが、そう箸にも棒にも掛からぬ答案でもなかった…みたい?(←自信を持てない(笑))予備試験受験生としては、貴重な体験を踏むことができました。
そんなこんなで私の脳内シンキングタイムは続きます。飽きたらできない、こんなこと。同じ勉強だと飽きるのです。だから雑誌を買うくらい良いじゃない。「難しい!」「ムリ~!」っていうのも含めて、お楽しみイベでした。
そして今一度、素晴らしい企画を実現してくださった著者の先生方、日本評論社の皆様に最大級の感謝を申し上げます。
ここまで読んでいただきありがとうございました!
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