刑法研究者が作った論証パターンを使ってみた|法学セミナー2024年12月号の感想

予備試験

予備試験・司法試験界隈で話題のあの雑誌!法学セミナー12月号をゲットして、さっそく使ってみました。買おうか迷っている方や他の人の感想を聞きたい、という方。ぜひ参考にしてみてください!

挑戦の特集。法セミ12月号

「刑法研究者が作った論証パターン」‥‥そんな斬新かつキャッチーなタイトルを突き付けてきたのが日本評論社さんの発行する法学セミナー12月号です。

研究者」と「論証パターン」という、ちょっとやそっとじゃコラボしなさそうな二つのパワーワードに興味津々。予約した方、発売を待っていた方も多いのではないでしょうか。

当の私も発売日から遅れること数日の今日、ゲットしてきましたよ~!

感想に入る前に

さてここで前置きですが。本ポストは、「法セミ12月号を読みました。楽しかったです。」という趣旨の日記です。それ以上でもそれ以下でもありません。

論証パターンというものがどうあるべきか。法研究者とは、予備校とは…といった話題は、その知見がある方々にお譲りします。

なお、1000人に1人くらいだと思っているのですが、稀に私のポストを読んで全く親身ではない斜め上からのコメント・引用ポストをくださる受験関係者の方がいらっしゃいます。おそらくこちらが気にしないだろう、と思ってコメントされてると思うのでお伝えしておきますね。不快です。そんなの関係ねぇと思われるなら、止める権利はありませんが。

法セミ12月号を買ってみた

前置きが長くなりましたが今朝、本屋の開店を待って買ってきました~!

発売前から気にはなっていましたが、気づけばAmazon価格が2,500円?(2024年11月14日現在。)それが定価の1,540円で近場の本屋に置いてあると分かったので「どうかこれからも法律関係の書籍を置いてください」という祈りをこめて買ってきました。

売り切れてなくてホッ。誰かが立ち読みしたのかちょっと傷んでるけどホッ。(立ち読みしたご近所さん、Xにいたら奇遇すぎるからDMいただけません?)

待ってる間に印刷しておいた平成27年度の過去問も持って大き目の図書館へGO!電車の中でパラパラ読んで準備です。

何の準備かと言うと、そりゃ起案(答案練習)の準備ですよ!!

法セミ12月号を読んでみた

法セミを読む朝を楽しむためにコーヒーと自家製パンとサラダを準備しました。(余談が多いですね~)

企画趣旨

論証パターンといえば受験生の必携アイテムにして予備校の伝家の宝刀。それをなぜに?なぜに研究者の先生方が作ることになったのでしょうか。

そもそも企画の意図が気になっている人も多いかと思うので、それは買って読んでいただきたいものとして引用を控えます。

私の理解としては、論証パターンを使うなら理解を示す説得的な文章を書いた方が良いんだろうね、ということ。それから実際に答案に書けるものとして今回の論証パターンが作られた、という二点です。

解説

論パの前に解説を置く構成がとられているところにも企画の意図が表れています。つまり、ベタ暗記ありきで臨まないで、まずは理解してよと。そういうことかと。

解説は読みやすい文体でした。直前(ベンチで時間潰してたとき)に基本刑法をザっと読んでいましたが、そちらとはまた切り口や纏め方が違います。読み飛ばしていた…というか、理解を飛ばしていた点がいくつかありました。

丁寧に解説されていたのは、やはり『なぜこの言い回し、この論パになったのか』という点。ここはかなり読み応えがありました。論証の一行一行に理由があって、意味がある。日ごろ手持ちの論証を意識的に読めていないこともひしひしと自覚させられました。

論パ

今まで見てきた論証と違う…!当たり前でしょうか?でも「そうは言っても被ってくるんじゃない」って思いません?もちろん、議論が同じなら論パの意味内容も共通しているんですが、言い回し、表現、文の構成が違う!!

『同じ論点でもこんな言い回しができる』『こういう理解を前提にすれば、この書き方になる』という…目から鱗がポロッポロでした。

法セミ12月号を使ってみた

さぁいよいよ本番ですよ~。読んだからには、書かねばならぬ、何事も。

補足ですが私の受験ステータスは予備試験の2回短答落ち、3回目の論文結果待ちが今。(スリーF疑惑があり結果は暗雲。)予備校教材・市販教材のみで勉強しています。つまり…まだ仕上がっていない、法科大学院教育を受けていない現役受験生!この特集のメインターゲットじゃないでしょうか?(謎の自信)

ということで、司法試験平成26年刑法の過去問を解いてみました!

不作為・因果関係・共同正犯と出てきて、まさに!まさにコレ読んだらソレを解こうという問題。予備試験過去問とのレベル差も(問題の長さを除いては)さほど感じなかったので、そっちをメインで解いてる方も解いてみる価値アリですよ。

丸暗記しない

個人的に、暗記がとても苦手で手持ちの論証もそこまで正確に暗記できていません。ということで、上手に暗記できてた体で書いても仕方ないので、「このくらい書けるかな」という精度でインプットしました。

いざ書こうとするとしっくりこなかった部分や、日頃使ってる論証しか思い出せない箇所もあり。やはり実際に書こうとしてみないとこの辺りの凹凸は分かりませんね。

論パ書くの大変

さもありなんですが法セミ論パ、全体的に長い!(が、そこが良い説)。今回一番気合を入れて書いた不作為犯の論パは、フルで書くとなかなかの長さ。これまで使っていた論証が約150文字に対して法セミ論パは約260文字。

でも、このいつもすっ飛ばしていた不作為の処罰について書けたのは、ペンを走らせながらかなり満足感ありました。これ書けたら本試験でちょっと浮くんじゃない?(←安直な期待)

2時間ジャスト!

長い論パはな~なんだかんだ困るよな~。と思いつつ、でもせっかくここまで論証書いたんだから時間内で解ききりたい!最後に書いた乙の罪責は8分くらいしか残せませんでした。でも一応、1時間59分59秒で書ききりましたよ~!わーい。(書ききった、の定義は不問。)

つまり…日ごろ必死に『論証は短く!』と心がけてましたが、100字200字くらいの違いは生き死を左右しないのかもしれません。

あと、代わり映えしない予備校論証って採点官にとってどうせCMみたいなもんだろうし極力短く!(あてはめが勝負だ!)って発想になりますが。

そこのところの前提を疑うきっかけになりました。つまり論証の長い短いは単純比較できないですね。

あてはめの課題

論パを使いこなせるかは、あてはめに現れるわけですが、因果関係の介在事情の論述は不完全燃焼でした。いつもの論証と違ってうまく当てはめられない。

それはつまり…実は日頃、いつもの論証でもうまく当てはめられてない、ってことなんでしょう。

いつも乱暴な当てはめだったから、論パに変えたら途端にうまく当てはまらない。これって使い慣れの問題だけじゃない気がします。

11月15日(翌日)追記
昨日は時間内に書いたハイで見て見ぬフリしてしまったのですが、今朝答案を見返してみると…いや、あてはめ!日本語としても対応していない!作為義務の認定なんなん!?だいぶやらかした答案になりました。
やっぱり読んで即いい物が書けるわけではありませんね…。
でも予備受かってない受験生としてはナイストライな気が…!

法セミ論パは使えるの?

さてさて、起案イベ終わったところで。法セミの論パは使えるのかどうか!

元とれる気がする!

完全に私見なのですが、この論パを血肉にできたらかなり、かなり、今までより良い物書ける気がする…!

と、言いますのも。上で書いたように「理解をすっ飛ばしていた箇所」があるんですよね。そういう穴が埋まるだけでも「前より分かった感」がありますし、それを答案練習に反映させられたら「前より書けた感」も一塩です。もうこの時点で買った元とれてるな!

実際使えるの?

そしてまだ買ってない人が一番気になるであろう『実際問題、使えるの?』という点ですが、これを丸暗記対象に答案にベタ張りする、そういう便利ツールとして使えるかどうかで言えば、コスパ悪いんじゃないでしょうか。だって覚え慣れた予備校論証とは違うし、物によっては長いし。

愚直に暗記する対象、貼りつける対象とするなら、やっぱり粗があってもこれまで使ってきたものが勝るのではないでしょうか。

理解を論パに反映させる

思うに…、この論パが使えるか、どんな論パがより良いのか、というところがポイントなのではなくて。勘所は『自分の理解を論パに反映させましょう』ということなのではなかろうか(謎の口調(笑))。

私たち受験生が日頃取り組んでいるように、論証は育ててナンボ。自分なりにブラッシュアップしていく人が多いかと思います。その際、ついつい『楽な言い回し』『端的な表現』を追求してしまいがちですが、『理解を伝えること』を犠牲にするのは灯台下暗し。

ということで、いただいた論パをどう活用するかは私たちに課せられたお題とも言えるでしょう。

起案習得中の方の活用

まだ答案練習をそんなにしていない、起案はこれから、という方が活用するとしたら…

論パをザッと眺めてみるだけでも楽しいと思います。手持ちの予備校論証とどう違うのかとか比べるのも面白い。

起案が軌道に乗る前って特に、こう書かなきゃ…って思い込みがちですから、『絶対こう書かないといけないわけじゃないんだ』と気づくだけでも価値がありそうです。

上で挙げた因果関係と、共謀の論パは当てはめる価値ありありですので、書かない方も脳内でぜひ使ってみてほしいです。

おわりに

ここまで読んでくださりありがとうございます!法セミ12月号、ここまで楽しめましたよ~。今日は楽しい一日でした。

なお、便宜上『法セミ論パ』と略して表記しましたが、どの論パも先生方お一人お一人が、検討を重ねて作成されたものだと感じられました。個別のお名前を挙げることはしませんが、感謝申し上げます。

ところで…え?続編あるんですよね?ですよね??日本評論社様、第二弾を心よりお待ちしております!

追記(2024/11/18):使用体験をもう少し具体的に詳しく書いたものを投稿しました。その③とありますが、②がニッチな話なので③をお先にどうぞ。

追記(2024/11/16):翌日以降の細かな追記は以下のポストに移動しました。今回の体験談からは脱線ぎみの細かな話ばかりですので、ニッチな話をご所望の方のみどうぞ。

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