この保育園・先生でいいのかな?と思ったら|ママ保育士でも園の見極めは無理ゲー

キャリア

保育園選び、保活、入園、登園。長い付き合いとなる保育園生活で「この園でいいのかな?」「この先生だいじょうぶかな?」と心配に思うことも多いはず。我が子の登園生活のかたわら、保育園で勤務していた筆者が独断と偏見をもとに保育園の見極め方や園生活について語ります。

ほんとに通園していいの?

妊娠が分かって、産後に職場復帰をするか悩んだとき。あるいは、産後に保活について調べたとき。我が子を「保育園に預けていいのか」ってすごく悩みの多いテーマですよね。

なかには妊娠前から「子どもを産むとしたら、仕事を続ける前提」と決めている人もいます。しかしそんな風にビシッと決めてその気持ちをず~~っと貫き通せる人って、レアな気もします。親戚など周りにアレコレいわれたり、いざ育児を初めてみて感じ方が変わったり。ウチはこう、と決めても途中で「ほんとにこれで良いのかな?」と戸惑う人の方が多いのではないでしょうか。

ほんとにホントに保育園っていいの?

仕事と育児を両立できるのか、夫婦でうまく役割分担できるのか。親の援助は必要か。費用は…。などなど、考えることも山積みですが、物理的な問題だけでなく「そもそも子どもにとって保育園って良いの?」というフィーリング面での悩みも大きいものです。

だって預けるとなると朝8時から夜の20時、一日12時間をそこで過ごすパターンだってあるわけです。しかも保育園って、事故とか不祥事とかニュースになってるじゃない。ホントにだいじょうぶかな…と心配していませんか?

答えは園と先生と子どものかけあわせ

世には保育園は良いか悪いか、専業主婦とワーママどちらが良いか…といった話題があふれていて、いろいろな意見があります。

ここで簡単に自己紹介すると、私は自身の産後に保育士資格をとり、子どもを保育園に預けながら保育士とフリーの仕事をかけもちしていました。”ウチの子の園”と”職場の園”を往復した3年間をふまえると、「保育園いいの?」へのアンサーは園と先生次第で子ども次第。そりゃそうだ、って感じだと思いますが、これはホントにそう。

スーパーレジェンド最強先生

職場の園には魔法使いのようなレジェンドのような最強先生がいました。園児の観察力にすぐれ、微細な動作を見逃さず、頭の中に専門知識がセットされていて瞬時にその子の発達段階を確認。豊富な経験則にあてはめて一人ひとり、その場その場で接し方をアレンジ。食事中はスプーン1杯に入れるおかずの量をミリ単位で調整するし、それをどんな風に口に運ぶかも綿密に考えられている。それを教室全体を見ながら行う。

あなたの職場にも一人はいないでしょうか。同じ人間とは思えない、スーパー社員。保育士は一般的な会社員とは異なりますが、優れてる人はどこでも同じ。個人的なインプットアウトプットの精度を高めながら全体の進行管理、他部署との連携し、目的意識を忘れない。それでありながらまるで”ごく普通のおばちゃん・おじちゃん”のような取っつきやすさ、コミュニケーション力が神。

そりゃ、良い先生がいればさ…

…当たり前ですがそんなスーパー保育士が担任になってくれるなら、大半の子は保育園に行った方がいい。(あくまで大半、ですが。)

平日の日中にヒマをつぶすのに苦労して親子で煮詰まるより、よっぽど有意義な時間が過ごせます。それは親より先生が良いということではなく、料理で言うなら手料理でまかなえない一部をプロに任せる発想です。(料理上手の人だって、毎日鶏肉を捕まえて血抜きしてさばくところからはできないはずです。)

ちなみに、じゃぁ専業主婦家庭・幼稚園組は損しているのかというと、そういうことではありません。あくまで理想的な保育園の、理想的なクラスでいうなら、という話であることは、これからお伝えしていきます。

保育園の理想と現実

もうお気づきだと思いますが、上に挙げたスーパー保育士先生は、そんじょそこらにゴロゴロしているわけではありません。これを読んでくださってるあなた自身の職場環境を想像していただく方が早いと思います。良い社員もいれば「なんで面接受かったん?」という人もいる。もちろん「この会社の社員は全体的に質が良い」ということはあります。(あると信じたい)。でも同じ業界で周りを見渡せば、そんな会社ばかりじゃない。

そこで我が子を保育園に託す保護者の願いとしては…もう率直に、良い先生・良い園にあたりたい。よりストレートに言っちゃうと、ハズレ園を引きたくないんだけど?…という話です。

入園前には見極められない

書いてて悲しいのですが、当たり園を的中させることはできても、ハズレ園を予測することはできないと思います。ご存じの通り保育士は入れ替わりが多い職種です。それは待遇の良し悪しだけでなく、若い先生には自身の結婚出産イベントがあるからです。

0歳1歳で入園して卒園の6歳まで。人員は総入れ替えとまではいきませんがガラッと変わっているのが普通。とすると、途中で地雷保育士が入ってくるリスクはいくらでもあります。人が変わらなくても経営が変わったとか、たまたま相性の悪い先生同士がペア担任になってしまったとか、キッカケは無数にあるのです。

強いていうなら…安全管理体勢

もう保育所見学とか意味ないじゃん、という話になってしまいそうですが。見学を通じて園のハード面を見ていくことはできます。衛生面、施錠などの警備体制。毎日の登園管理や体調管理などなどは、見学時に必ず説明されるはずです。

いや、先生がどうとかより、何よりまずソコを気にしてるんだけど!怖いニュース多いし!…というママパパもいることでしょう。すごくざっくり書いてしまうと、命にかかわるような事故というのは本当に無数の可能性があるので、保育所見学でどこをピンポイントでチェックすればビシっと見極められる…とは言えません。よって見極めるというよりは、個人的に判断する、というのが正しいです。

もちろん園バスでの死亡事故があったから、バスにカメラがついているかをチェックする。節分豆を喉に詰まらせた事例があったから「この園では節分行事をしていますか?」と聞くのもいいでしょう。でも保育所見学の場ですべては網羅できないから端々で感じられることで判断していくしかないのです。

信用できないと思う園には絶対に預けないことと、下で書きますが保育時間を引き延ばさないこと。そしてどこで過ごしても命のリスクはある、ということも心に留めておきたいものです。

普通にフツーの先生でいい

さてさて、話は戻って。スーパー先生がいなかったら保育園に通わる価値ってないのでしょうか。はたまた、リスクがある以上ぜったいに手元で育てた方がいいのでしょうか。

…あながちそうともいえません。保育園はある種の機会提供の場だからです。同年齢・異年齢の子と関わり、家族だけではできない遊び方ができるのは、書ききれないほどのアドバンテージです。すごく冷たい書き方をしまうと、職員の資質に無関係の利点というものがある。(これは私の保護者目線での意見です。)

つまりすご~く優れた先生でなくていい。普通にふつうの良い人ならいい。そんな先生にあたって「あ、このときの対応はイマイチだったね」とか「あ~もうちょっとベターな接し方あったかもね」ということがたくさんあったって、それで子どもの生活が台無しになってしまうとか人生で回復できない傷を負ってしまうかもとか、そういう怯え方はしなくて良いのです。

人と関わる以上トラブルのリスクはあるのですが、それは手元で育てていてもあるもので機会損失との差し引きが必要。このあたりをふまえ、「ウチは保育時間が短い幼稚園がいいな~」と思うか、「保育園生活で揉まれて学んでもらいたいな~」と思うかは、ご家庭の価値観とライフスタイル次第。そしてなんだかんだ通える範囲の幼稚園・保育園がどんなキャラかが大問題で。ちなみに”幼稚園がいいか・保育園がいいか”問題は、0歳入園か・3歳入園かをはじめ、いろいろな要素があり一概に言えません。

あなたの職場と同じことが園でも起こる

さて、保育園はいいものだ~で終わりたいところですが。ここまで読んでもうお気づきだと思いますが、多くの会社で起こる人間関係のトラブル、運用上のトラブル、管理のトラブルは保育園でも起こります。良い時期と悪い時期とがあるし、慢性的な問題というものも何かしらあるもので。

つまり保育所を利用するということは、あなたがあなたの職場で抱えているさまざまなリスクが、今後は二本立てになるということです。そしてそれがなかなか外からは分からないことが保育園のおそろしさです。(もちろんこれは、幼稚園や小学校にもいえます。)

後悔しないための3つのポイント

身も蓋もないことばかり書いてしまいましたが、ここで私なりのアンサーといいますか、自衛策をお伝えしていきたいと思います。あまりスッキリした解決策はないのですが、現実的なところということで…。

さいしょの印象は重要

「保育園に預けるのが心配」「手元で育てた方がいいのかな」「この園、ほんとにいいのかな」「あの先生ホントに良い人かな?」

入園前も入園後も、さまざまな不安があると思います。ここで保育士の肩書を離れて私の独断を言ってしまうと、入園そのものに不安があるなら100%回避一択。いやいや、それならママが仕事辞めるかって話じゃない、そんなにサクッと決められるもんじゃない!…でも、保育園に入れないと生きていけないご家庭というのは、実は限られていると思います。

たとえば「手元で育てた方がいいのかな」と悩んでいるのは、ママが職場復帰自体を迷っていて、辞める道もある程度想定していて…というケースが多い。ここだけの話、仕事を辞めるその最後の踏ん切りのために「でも保育園って悪い話いっぱい聞くし」という意見が登場することってわりとあります。保育園全体を悪く言われるのは残念ですが、「自分たちで手厚く育てていこう!」という決断にまさるものはないと思います。

ほかにも園や先生が「正直、微妙」と感じたら。それこそ第六希望にだって書かなくて良いんじゃないでしょうか。だって保険にするにしても…本当に保険になりますか?そこしか受からなかった時、すごく迷うのは確実。自分に置き換えたらそこで良い決断ができる自信がありません。

預け時間を切り上げる勇気

いざ入園しても子どもは愚図るし風邪はもらうし。発熱に学級閉鎖、ぜんぜん出社できないんですけど~! …これって保育園あるあるですが、いざその状況に置かれるとホント修羅場ですよね。(なぜ納期ギリギリで子どもは風邪をひくのか!)

そんな日々の中にあって、園から「退社後はできるだけ早くの引き取りをお願いします」「発熱なくても疲れているときは登園控えて」なんてお手紙や声掛けがあったら。それはそれは疲れも100レべ増し増しです。ですが!

やはり保育時間と子どものコンディションは完全に相関関係にあるというのが体感です。預け時間が長ければ長いほどリスクが高まる。リスクは、感染症から人間関係的なものも含めさまざまです。

うちは下の子が登園しぶりが激しい子で、環境適応が難しいタイプの子でした。預け時間はかなり微調整し…というか、せざるを得なかったです。

子どもは親の都合とは無関係に、このくらいの時間なら園でハッピーにすごせるという体内時計を持っています。なのにそこからプラス1時間待たされてるのでコンディション最悪で退園。翌朝も容赦なく早朝登園。…ということはままあります。適応できるタイプの子ならまぁご機嫌でなくても30分や1時間は余分に過ごせる。でも、適応が難しいタイプの子はほんの10分の違いで崩れてしまう

10分の違いがその子の1日を左右する。もちろんコンディション最悪で退園=家でも修羅場コースです。器用なタイプの子だって時期的に我慢がきく時ときかない時があるわけですから、登園時間は常々タイトに切り上げるが吉です。

(そうはいっても仕事的に長時間保育マストなの!というご家庭は、休日むやみに習い事や大人都合の親戚づき合いなどを入れず、ダラダラする時間を大切にすることがおすすめ。)

問題ないことが逆に奇跡

ウチの子は登園しぶりがあって…と書きましたが、実は就学時に不登校になりかけ、仕事を辞め学童保育も辞めることとなりました。がんばって働いているうちは仕事を辞めることって…収入はもちろんですが、精神的な面で重く重く感じられます。

でも辞めてしまえば、なんていうこともなかった。子どもの”今”より重いものはなかった。その後、試行錯誤の時期を経て、なんとか登校できるようになりました。そんな私が思うのは「あれ、このまま通わせて大丈夫かな?」と思ったら決断が必要なこともあります。

こうも言えます。親は…とりわけママは、いつどんな事情で仕事を辞めなければならないかもわからない。だから「あれ?」という違和感がないうちは、思いっきり働いて登園してもらっておいた方が良い。保育園でしか得られない体験は無数にあります。

余談:ハズレ園に入職してしまった保育士は?

ちなみに、地雷園・地雷保育士にあたってしまうのは、利用者側のご家庭だけの問題ではありません。保育士の側も、満を持して入職した職場がはちゃめちゃだった…というのはありがちです。

ペアの先生が怖い人だったとか、他のクラスの先生と上手くいかないとか、いろいろあるかと思います。ホントに独断ですが、保育士先生の摩擦は95%くらい承認欲求が火種になっている気がします。

保育園は本当に狭い世界です。私は以前アパレルの会社に勤めていてそこでも当然、販売員同士のトラブルはつきものでした。でもお客さんに褒められたり、他のショップの人と仲良くなったり、本部と連絡したり、ヒラの販売員だって多少は別の世界を持っていました。同じシフト業でも、保育士はほんとに関わる相手が限られています。

園でペア担任の先生同士のピリピリなんかも目撃していましたが、業務のあれこれを伝える時にどことなく威圧的とか、「今それ言う?」みたいなことで不和が起こります。

予防策としては、ちょっとウザイかな?って思っても相手に感謝なり褒めなりを伝えておき、承認欲求を満たせておくのが賢い気がします。「あの先生うまく立ち回っているな」という先生がいつも、そうされていました。

おわりに

ニュースやSNSを見て、「保育園って怖いよね」「いやいや働かないママも悪いよね」…なんて決めつけて語ることは簡単です。でも、よっぽど暇でないかぎり、そんな議論に耳を傾ける時間はありません。

スプーン1杯に入れるおかずの量をミリ単位で調整する保育士がいるように、ほとんどのママパパは毎日を、細やかで勇気のいる決断とともに過ごしているはずです。そして決断は1回きりではありません。この記事が何かの判断材料の一つになれば幸いです。

忙しい中、ここまで目を通してくださりありがとうございました。あなたの子育てに、今日も笑顔になれる瞬間があることを祈っています!

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