行政書士試験を目指すにあたって、まずどんな教材を買えばいいのでしょうか。必要最低限でそろえたい方、しっかり揃えていきたい方へ。おすすめのテキスト・問題集と選び方のポイントをご紹介します。
何をそろえる?基本の〇点セット
行政書士の教材量は法律資格の中では少ない方かもしれません。とはいえテキストに問題集に判例集に…と揃える物が複数あり、1冊1冊もそれなりのボリュームです。また、本業や学業のかたわら受験するから、費用もできるかぎり押さえたいという人も多いでしょう。
最安・節約コースはこの3点セット
必要最低限の教材でいえば①テキスト②選択問題の問題集③記述式対策の問題集。この3点です。定価で8,000円程度、すべてメルカリで揃えるとしたら5,000円以内でしょうか。この3点は買わなければ始まりません。
②選択問題の問題集は、過去問そのものの問題集ではありません。過去問で頻出のものを厳選した問題集です。
+別途、実際の過去問については試験委員会のサイトで公開されています。他資格で、「過去問はタダで公開されてるのだから、それで間に合わせた」という体験談もお見掛けしたので、1円でも安く揃えたい方にはその手もありますが…。忙しい方は解説付きの過去問題集を購入するのが賢明です。
安心・法律家コースはこの教材も
予備校に通うよりはるかに経済的な独学。少しくらい教材にお金をかけてもいいよ、という方は上記の3点に加えて④過去問集⑤判例集⑥ポケット六法も。
④は上述の通り、限りなく必須に近いオプション品です。つまり、問題集は計3冊。通常の選択問題集(②)、記述式の問題集(③)、過去問3~5年分の問題集(④)です。
⑤判例集は知識習得のためにぜひ揃えておきたいものですが、私は行政書士用の判例集を購入してレイアウトの読みにくさに挫折しました。通常法律の学習で使う六法を圧縮しているので、とても読みにくい。学習が進んでから検討でも良いかもしれません。
⑥ポケット六法はなくても間に合ってしまうけど(後述)法学部の学生さんや他資格を並行学習する方には必須です。
時短・心のお守りに役立つ(?)教材
教材と言えば市販の書籍だけではありません。ネット上では有料動画や、合格マニュアル、受験生の必勝ノート?のような物も販売されています。これらはピンからキリまでといったものですが、あながち否定はできません。私自身も有料動画を5万円で購入しています。結果的に必須ではありませんでしたが、モチベーションアップにはつながりました。動画は書籍だけでは拾いきれない情報を効率的に補える点で、捨てがたいオプションです。
行政書士・独学におすすめの教材
実際に活用した教材をご紹介していきます。
①テキスト:LEC 行政書士 合格のトリセツ 基本テキスト
行政書士のテキストって分厚いですよね。1科目ごとに分けて持ち歩ける「分冊セパレート」であることは、もはや必須条件。そして巻末には『行政書士試験六法』が付属しているので、ポケット六法を別に買わなくともOK。
これと比較対象になるテキストとして、TACの「みんなが欲しかった! 行政書士の教科書」があります。合否をわけるような決定的な差はないと判断したため、細かなコメントの読みやすさやイラストの雰囲気などで選びました。
個人的には巻末の六法が横書きで、紙もわりと丈夫だったのが嬉しかったです。(いまの司法予備試験の勉強でも使っています)
②選択問題集:みんなが欲しかった! 行政書士の問題集
選択問題の問題集は、「肢別か・過去問形式か」という争いがあります。行政書士の選択問題は1問につき5つの選択肢を提示され、「正しい物を二つ選べ」といったスタイルで出題されます。
その過去問の形式のまま抜粋してオムニバスにしたのが、過去問形式の問題集です。上記TACの問題集はこの形式を採用しています。
過去問の解き方を覚える+過去の重要な問題を理解できる点が過去問形式の問題集の強みです。たとえば画像の問題の場合、5つの選択肢のなかに一つだけ入っている「×」の選択肢を探します。
一方、肢別の問題集は選択肢を分解して、一問一答形式にしています。同じTACから肢別版の問題集も出ています。
肢別は一問一答形式なので、「この中に〇が1つある」「2つある」といった設定はなく、上から〇×を判断していきます。素直に上から解いていけばいいのでテンポよく解けることと、問題文の設定による消去法に頼らず解けることがメリットです。
受験生の中では肢別問題集の方が人気なのかもしれません。肢別問題集×過去問問題集で使い分ける人が多いのかもしれません。
個人的には「問題集の類はすべて過去問形式」というのが自分には合っていました。問題を読むときの勘が養われた気がします。「この並びはこれを選ばせたいんだな」という勘は、純粋な実力ではないかもしれませんが、それでバカにならない点数を拾うことができました。解くスピードも養われます。
LEC 出る順行政書士 40字記述式・多肢選択式問題集
記述式でLECを選んだ理由は、単にネットの購入ページで中身の立ち読みができたからです。たまたま選んだ一冊ですが、良い選択でした。
記述式の問題集の問題は、「同じ問題は本試験で出されない」ということ。絶対ないとは言い切れませんが、試験委員が特定の問題集と同じ問題を出題した!…ということが起きたら、ちょっとした話題になってしまうでしょう。
つまり、問題集をみて対策はしないといけないけど、この問題は出されない⁉そこで役立つのがプラスアルファのコメント、周辺の情報です。
このLECの問題集はわりと解説が充実していて、この論点に関連する情報はコレ、もし狙われるとしたらココ、というところが書かれていたのが良かったです。私は問題自体を解くのより、そのコメントの方を読んでいました。
行政書士のテキスト・問題集の選び方
いろいろなテキストがあり、どれも一長一短で悩ましいですよね。最後に迷ったときの選び方のポイントを少しご紹介します。
①メインのテキストは最もストレスフリーなものを選ぶ
毎日毎日ひらくテキスト。どれが一番情報量が多いか、どれが簡潔か、正確か… というところも大切。
ただ、テキストを買う時ってわりと元気なので、「この出版社のここが良い・悪い」…といった具合に吟味もできますし、が、学習後半になってくると細かなところは問題ではなくなります。
来る日も来る日も開くテキスト。個人的には読んでストレスが一番少なそうな物を選ぶのがおすすめです。文字のサイズ、書体、イラストの雰囲気、文体…いろいろな所に好みが出ますよね。
②出版社は揃えるor外す
テキストを選んだら問題集選びです。同じ出版社で揃えれば、ページの隅に「テキスト〇ページ参照」と書かれていて、サッと拾えるメリットがあります。このスムーズさは捨てがたい。
一方、私はあえて違う出版社を選びました。1社の解説で分からない項目があっても、別の会社の解説を組み合わせれば理解できるということは割とあります。これは項目ごとの重要度を図るのにもおススメです。この単元ってどっちの本でも重要項目になってるんだな~。あるいは、問題を解いていて「ちょっと後回しにしたいな」というときに、両者でBCランクなら後回しOKと判断できます。
どちらも一長一短なので、フィーリングで決めてOKかと思います。
③中古で手に入る教材で決めるのもアリ
コストを極力抑えたい方は古本が基本。メルカリでタイミングよく買える物を選ぶというのも大いにアリです。どの教材でも受かる人は受かる。主要出版社が出している教材ならば、相応のグレードを備えているはずです。
④最重要ポイントは時間をかけないこと
テキストは本気で比較するとなると時間がかかってしまいます。その間、他の受験生は着々と勉強を進めています。基本、迷う必要はありません。買おうと思ったら即決。何より賢い選択は、時間を節約することではないでしょうか。
おわりに
教材選びは悩みも多いですが、楽しいイベントでもありますよね。コレ!という教材が見つかれば、学習のモチベーションも上がります。新しい教材を手に、いざ学習スタートしましょう!
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